AF2という食品添加物があった。
ウイキペディアによれば、「元々は主にボツリヌス菌に対する殺菌能力を持つ防腐剤として1965年に厚生省が認可。(略)製造元の上野製薬では「トフロン」の商品名で豆腐用の防腐剤として販売していたほか、魚肉ソーセージ等の製造の際に添加物として利用されていた」というものだが、海外では発がん性があるということで使われていなかった。
しかし、その後、マスコミや研究者の間でこのAF2の危険性が明らかにされ、1974年に食品添加物としての認可が取り消され、以後添加物としての使用は禁止された。
そもそも、厚生省が当初AF2を認可した際の根拠とした安全性試験のデータは、大阪大学医学部で行われたとされたが、実態は上野製薬側が行った実験のデータであったことも判明したいう。
まさに産学官の癒着構造だが、その結果、消費者は9年もの間、危険な食品添加物を食べさせられていたことになる。
普通に生活していると、年間4―5キロほどの食品添加物を食べるらしいが、本当に必要なものなのか、大いに疑問を感じる。
食品添加物を使わずに加工品を製造しているメーカーもある。
現在では東京ミッドタウンにも店を出している平田牧場(山形県)は、(飼料米を食べている)三元豚・金華豚で有名だが、この会社が作るソーセージやハムには、余計な食品添加物は入っていない。
なぜなら平田牧場が新しい形の養豚や加工品で成功した背景に、食品の生産や管理にうるさい生活クラブ生協があるからだ。
先日、テレビ東京の某番組に平田牧場の会長が出ていた。
生活クラブからの要請で添加物無しのソーセージやハムを開発した際の苦労話が出たが、失敗の連続にもかかわらず、生協側は根気強く開発が成功するのを待っていたそうだ。
消費者が安全なものを本心から望めば、生産者は応えるという実例だろう。
身の回りの加工品には呪文のような名称の食品添加物が含まれているが、これは流通の発達とは無縁ではない。
一見、生活には利便性があるかのように見える多種多様の食品流通だが、どこまで必要なのか、一度考え直した方がいい時期に来ているのではないか。
地産地消というが、なにも農産物など生鮮品だけの話ではない。加工品にも当てはまる。
昔、味噌や醤油は計り売りが普通だった。必要な量だけを買えた時代があった。
売る側の論理に立つ食品流通ではなく、消費者の側に立った流通があってもいいのではないか。
加工品を買う前に成分表を見て、売る側の論理が押し付けられていることを知るべきだ。

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